ドローン二等の実地試験、口述審査では何を問われるのか|国の細則から3科目と減点の付き方
二等無人航空機操縦士の試験対策というと、学科試験と飛行の練習に目が向きます。ところが実地試験で思わぬ失点をするのは、飛ばしていない時間だということが少なくありません。
実地試験には、機体を飛ばす実技試験のほかに、口で答える「口述試験」があります。飛ばす前と飛んだ後に行われるもので、点検の手順や記録のつけ方を問われます。練習場で飛ばす練習をいくらしても身につかない部分です。
この記事では、国土交通省航空局の「二等無人航空機操縦士実地試験実施細則 回転翼航空機(マルチローター)」の本文から、口述審査の科目と制限時間、減点の付き方を整理します。試験を実施する側が見ている文書そのものです。
口述審査は3つの科目に分かれています
細則の本文では、実地試験の構成として口述試験が3つ挙げられています。「口述試験(飛行前点検)」「口述試験(飛行後の点検及び記録)」「口述試験(事故、重大インシデントの報告及びその対応)」です。

科目ごとに制限時間が定められていて、「回答又は点検及び記録は制限時間内に行うものとする」と書かれています。
① 飛行前点検は、確認・作動前点検・作動点検の3段
目的は「飛行前の点検を適切に行うことができるかどうかを判定する」こと。中身は3つに分かれます。
飛行空域及びその他の確認(3分)
試験員が確認事項を示し、受験者がその結果を答えます。細則が例に挙げるのは、飛行空域及びその周辺の状況、航空法等の違反、必要な許可書・承認書・技能証明書等を携帯しているか、操縦者の体調等、気象状況の5つ。
「書類を持っているか」が確認事項に入っている点に注意してください。当日の持ち物がそのまま審査の対象になります。
作動前点検(12分のうち)
機体と操縦装置を作動させる前の点検です。結果は、提供される日常点検記録の様式に記載します。点検項目の例は、機器の取付け、機体(ローター・プロペラ、フレーム、機体識別票等)と操縦装置の外観の異常など。
作動点検(12分のうち)
こちらは「機体及び操縦装置を作動させて、試験員の指示に従って点検をさせる」というものです。点検の例は、電源系統、通信系統、燃料またはバッテリーの残量、リモートID機能、推進系統、自動制御系統及び操縦系統など。日ごろ飛ばす前にやっていることを、声に出して順番どおりに進める形になります。
なお、機体と操縦装置を作動させて行う口述試験では、受験者・試験員・試験員補助員・受験者補助員がヘルメット、保護メガネ等の保護具を着用することと定められています。口述だから座って話すだけ、ではありません。
② 飛行後の点検と記録は5分
飛び終えたあとの科目です。飛行後点検では、機器の取付け、機体の外観・損傷・ゆがみ、各機器の異常な発熱、機体へのゴミ等の付着などを見て、飛行前と同じ日常点検記録の様式に結果を書きます。
そのあと飛行日誌の様式へ、実施した飛行を記録します。細則には「飛行時に異常が認められた場合は、当該様式に不具合事項を記載することとする」とあります。書き残すところまでが審査の範囲です。この2つで通じて5分ですので、様式のどこに何を書くかを迷っている余裕はありません。
③ 事故・重大インシデントの報告は各3分
事故や重大インシデントが起きたときの報告と対応です。まず該当する事態を3つ、口頭で答えるか様式に記入します。次に、事故等が発生したときの処置の説明が1問出ます。それぞれ3分です。ここは暗記が効くところで、学科試験の範囲と重なります。
減点は「点検漏れ」と「記録の書き方」で付きます
細則の本文には、口述試験の科目ごとに減点の基準が示されています。主なものです。
| 科目 | 減点の理由 | 減点 |
|---|---|---|
| 飛行前点検 | 飛行のために必要な点検を一つでも行わなかったとき | 10点 |
| 飛行前点検 | 日常点検記録の記載漏れ又は誤り | 5点 |
| 飛行前点検 | 日常点検記録の軽微な誤り(点検日時や場所の誤りなど) | 1点 |
| 飛行後の点検と記録 | 飛行後の機体の状態の確認に必要な点検を一つでも行わなかったとき | 5点 |
| 飛行後の点検と記録 | 日常点検記録の記載漏れ又は誤り | 5点 |
| 飛行後の点検と記録 | 飛行記録の記載漏れ又は誤り(飛行時間の計算の誤りを含む) | 10点 |
| 事故等の報告 | 説明に抜け又は誤りがあったとき | 5点 |
| 事故等の報告 | 制限時間内に回答しなかったとき | 5点 |
気づいていただきたいのは、飛行日誌の記載漏れが10点で、点検そのものを飛ばしたのと同じ重さだという点です。飛行時間の計算を間違えただけでも、この10点に当たります。
いくつも当てはまったときは、「最も減点数が高いもののみを適用して減点を行う」と定められています。重ねて引かれるわけではありません。また、飛行前点検で記載の誤りを減点されている場合、飛行後に同じ内容で改めて減点されることはありません。

一発で中止になる4つ
減点ではなく、その時点で実地試験が中止になり不合格となる項目も4つ定められています。
- 航空法等の違反(アルコール又は薬物の影響、屋外の試験で登録や許可等がないなど)
- 危険な操作
- 墜落、損傷、制御不能
- 不正行為(他の者からの助言・補助を受けることを含みます)
合格は「70点以上の持ち点」
採点は細則の冒頭に書かれています。「実地試験は、100点の持ち点からの減点式採点法とし、各試験科目終了時に、70点以上の持ち点を確保した受験者を合格とする」。
つまり減らせるのは30点までです。口述審査で10点、記録で5点と積み重なると、飛行の出来が良くても危うくなります。逆に言えば、口述審査は覚えて手順どおりに進めれば落とさずに済む部分でもあります。
準備として今日からできること
1つめは、日常点検記録と飛行日誌の様式に、実際に手で書いてみること。様式は試験の場で提供されますが、どこに何を書くかを知らないまま5分や12分に臨むのは厳しいです。練習飛行のたびに書いておけば十分です。
2つめは、点検を声に出して順番どおりに進める癖をつけること。一つ飛ばすだけで10点です。
3つめは、事故・重大インシデントの該当する事態と、発生時の処置を言葉で説明できるようにすること。学科の勉強をしながら仕上げられます。
ご相談をお受けしています
e-educationでは、兵庫県北部(但馬)で二等無人航空機操縦士の資格取得を目指す方のご相談をお受けしています。学科試験の勉強の進め方、独学とスクールの違い、実地試験で何を問われるのかの整理、技能証明の更新の段取りなど、お一人ずつの状況に合わせてお話しします。
学科試験の対策用アプリもご用意しています。練習問題420問と暗記カード、50問30分という本番の形に合わせた模擬試験が入っていて、間違えた問題は1日後・3日後・7日後と間隔をあけて戻ってきます。教則第5版に準拠しています。
ドローンのこと、パソコンやAIのことなど、お困りのことがありましたらお気軽にお問い合わせください。豊岡市日高町の事務所でお待ちしています。
出典
- 国土交通省航空局 安全部 無人航空機安全課「二等無人航空機操縦士実地試験実施細則 回転翼航空機(マルチローター)」(制定 令和4年10月7日 国空無機第209322号/改正 令和7年12月5日 国空無機第298768号/令和8年6月5日施行) https://www.mlit.go.jp/koku/content/001971375.pdf /2026年10月29日確認
- 国土交通省「無人航空機操縦者技能証明等」(実地試験実施細則の掲載ページ) https://www.mlit.go.jp/koku/license.html /2026年10月29日確認
ご受験の前には、必ず最新版の細則をご確認ください。この記事は2026年10月29日時点の細則にもとづいています。
