AIを何に使えばいいか分からない方へ|但馬の事業所でまず効くのは「紙とPDFの転記」です

「AIが便利らしいのは分かるけど、うちの何に使うのかが分からない」

豊岡や養父、朝来の事業所の方とお話ししていると、この一言にたどり着くことがよくあります。無料のセミナーにも行ってみた。けれど会社に戻ると、目の前の仕事とAIがどうつながるのかが見えない。

これは勉強不足ではありません。国の調査でも、同じところでみんながつまずいていることが分かっています。

つまずいているのは、お金ではありませんでした

中小企業庁が公表した2026年版の中小企業白書・小規模企業白書の概要資料に、AIを導入していない企業が挙げた課題が並んでいます。上位はこうです。

  • 活用する業務がイメージできていない … 63.4%
  • 活用を推進する人材が不足している … 40.0%
  • 社内ルール・ガイドラインが整備されていない … 26.2%
  • セキュリティ・情報漏えいへの不安がある … 14.5%
  • 必要な予算を確保できない … 13.8%
AIを導入していない会社が挙げた課題。使い道が思い浮かばないが63.4%、進める人がいないが40.0%、予算が確保できないが13.8%。
「お金がないから導入できない」と答えた会社は、全体の1割台にとどまりました。

注目していただきたいのは、予算が一番下に近いところにいることです。費用の問題だと思われがちですが、実際にブレーキを踏ませているのは「使い道が見えない」のほうでした。

ちなみに、AIを導入している中小企業は20.4%(中小企業基盤整備機構調査)。10社のうち8社はまだ使っていません。焦る必要は、まだありません。

では、どの作業から始めるのか

使い道が見えないときは、新しいことを探さないほうが早いです。今すでに毎日やっている作業の中から、「人が見て、人が打ち直している」ところを1つ探す。これがいちばん確実な入口です。

たとえば、こんな作業はありませんか。

  • PDFで届いた工程表を見ながら、自社の管理表に日付を打ち込んでいる
  • 見積書や注文書のPDFから、品名と数量と金額をExcelに転記している
  • 手書きで集めたアンケート用紙を、1枚ずつ数えてExcelに入れている
  • 打ち合わせの録音を聞き直しながら、議事録を起こしている

どれも新しく何かを生み出す作業ではありません。すでにある情報を形を変えて置き直しているだけです。だからこそ、AIがいちばん得意なところでもあります。

但馬は建設業や工務店、運送、農業法人が多い地域です。FAXや紙の書類が現場に残っている事業所も少なくないのではないでしょうか(これは私たちの見立てで、調査に基づくものではありません)。もしそうであれば、この「転記」という入口は、都市部の会社よりむしろ効きやすいはずです。

実際にやっている会社の例

株式会社コミクスが2026年4月26日に公表した、中小企業向けの支援内容です。

  • 建設業向け:PDFの工程表や見積書をAI(Gemini API)で解析し、スプレッドシート上の工程管理表へ自動転記。Googleカレンダーにも自動で反映
  • 住宅建築業向け:建築図面のPDFをAIで解析し、確認申請書に必要な情報をスプレッドシートへ自動転記
  • 会議議事録:Zoomの録画データを生成AIが文字起こし・要約し、議事録として整形してGoogleドライブへ自動格納

そして費用です。発表では、API利用料は月額数百円程度、PDFの解析は1件あたり数円程度に収まっているとされています。

紙とPDFの転記を自動にした例。工程表はPDFをAIが読み取って管理表へ自動で書き込み、建設業40名の事例では工事日報が30分から5分に短縮、費用はAPI利用料が月額数百円程度でPDF1件の解析は数円程度。
「AIを入れる」と聞いて浮かぶ金額と、実際に動いている金額は、だいぶ違います。

時間のほうも事例が出ています。従業員40名の建設業で工事日報の作成が30分から5分に、従業員30名の製造業で品質検査報告書の作成が2時間から20分に。どちらも作業がまるごと消えたのではなく、人が最後に目を通す前提の数字です。

月額のサービスを契約する前に、考えていただきたいこと

AIを始めようとすると、月額数千円から数万円のAIサービスを契約する流れになりがちです。でも先ほどの例が月額数百円で回っているのは、新しいサービスを増やしたのではなく、すでに持っている道具を組み合わせているからです。スプレッドシート、Googleドライブ、カレンダー。それにすでに契約しているAIが1つあれば、たいていの転記作業は組み立てられます。

始めるときの順番として、私たちは次の2つをおすすめしています。

  1. 1人・1業務から始める。全社員に一斉に配るのではなく、いちばん困っている1人の、いちばん時間を取られている1作業だけを自動にする
  2. 効果を「月に何時間減ったか」で数える。感想ではなく時間で測ると、次にどこを自動にするかを自分たちで判断できるようになります

逆に、最初から会社全体の仕組みを作ろうとすると、決めることが多すぎてたいてい止まります。

費用の手当て(補助金が使える場合があります)

ソフトウェアの購入費やクラウドの利用料、導入時の研修や保守サポートは、デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の対象になります。

  • 通常枠の補助額:1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下
  • 補助率:1/2以内(一定の条件を満たす場合のみ2/3以内)
  • 現在受付中の締切:2026年10月30日(金)17:00

気をつけたいのは、申請そのものより前さばきに時間がかかる点です。交付申請にはGビズIDプライム(発行までおおむね2週間)と、IPAのSECURITY ACTIONの宣言(宣言済アカウントIDの発行はおおむね2〜3日)が必要で、交付決定の通知が来る前に発注すると対象外になります。

なお、この補助金はIT導入支援事業者と共同で申請する仕組みです。当社はIT導入支援事業者としての登録がありませんので、申請の代行はできません。 制度の説明と段取りのご案内まではお手伝いできますので、お使いのシステム会社やベンダーが支援事業者として登録されているかを、まずご確認ください。

なお、ホームページの制作費は小規模事業者持続化補助金のほうが対象です。

まずは30分、今の作業を書き出してみてください

「うちだとこれかな」と思い当たる作業が1つでもあれば、それが入口です。

おすすめしたいのは、紙を1枚用意して、今週やった作業のうち「見て打ち直した」ものだけを書き出すことです。30分あれば十分です。書き出せたものに、月に何回やっているかと、1回あたり何分かかっているかを添えてみてください。

そこで一番上に来た作業が、最初に自動にすべき作業です。

パソコン作業の自動化をお手伝いしています

e-educationでは、兵庫県北部の事業所向けに次の2つのサービスをご用意しています。

  • パソコン作業の自動化提案:今の作業を一緒に棚卸しして、どこから自動にするかの順番を決め、仕組みをお作りしてお渡しします。月額のサービスを売るのではなく、お手元で動き続ける形にします
  • AIを活用した売上アップ提案:集客や販促の面で、AIを使って手が回るようになる部分をご提案します

初回のご相談は無料です。「何に使えるか分からない」の状態からで大丈夫です。そこから一緒に考えるのがこのサービスの中身です。お問い合わせは当社ホームページのお問い合わせフォームからお願いいたします。


この記事で使った数字の出どころ

  • AI未導入企業の課題(63.4%・40.0%・26.2%・14.5%・13.8%)、部門別の活用状況:中小企業庁「2026年版 中小企業白書・小規模企業白書の概要」(中小企業政策審議会 総会資料)
  • 中小企業のAI導入率20.4%:中小企業基盤整備機構の調査(2025年11月17日〜12月12日・1,647社)
  • 工程表・見積書・図面・議事録の自動化と費用(月額数百円程度/PDF1件数円程度):株式会社コミクス プレスリリース(2026年4月26日)
  • 工事日報30分→5分(建設業40名)、品質検査報告書2時間→20分(製造業30名):当社が収集した中小企業の活用事例より
  • デジタル化・AI導入補助金2026の補助額・補助率・6次締切(2026年10月30日17:00)・GビズIDプライムとSECURITY ACTIONの要件:デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト(中小企業基盤整備機構)

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